ものづくりのオリンピック
2024年8月12日(日本時間)、パリ2024オリンピックが閉幕しました。アスリートの活躍が連日放送され、日本は海外開催で最多のメダルを獲得しました。
アスリートは、オリンピックへの参加を大きな目標に日々の練習を行い、各国代表と戦いメダル獲得を狙います。
さて、近代五輪に比べ歴史は浅いですが、製造業のオリンピック「ものづくり日本大賞」というものをご存じでしょうか? ものづくり日本大賞は、経済産業省が新時代のものづくりに挑戦する個人やグループを表彰するものです。第10回「ものづくり日本大賞」は五輪大会を挟み、10月15日までが応募締切となっています。昨年の第9回「ものづくり日本大賞」の受賞内容を覗いてみると、内閣総理大臣賞2件や経済産業大臣賞12件、その他優秀賞など多数の受賞が発表されています。オリンピックのように金や銀、銅メダルのような感じです。
表彰の対象となる4つの分野は、
- 産業・社会を支えるものづくり
- 文化を支えるものづくり
- ものづくりを支える高度な技能
- ものづくりの将来を担う高度な技術・技能
特に、1. 産業・社会を支えるものづくりでは、
- 製造・生産プロセス部門
- 製品・技術開発部門
- 伝統技術の応用部門
- データ利活用による新価値創出部門
の4部門に分かれており、技術や技能に偏らず、プロセスやビジネスモデル、デジタル技術を用いたITCなどのものづくりも対象です。
パリオリンピックに参加している一流アスリートを見ていると、競技ごとにその鍛えた筋肉に違いがあることに気づきます。体操選手は首や肩の筋肉、柔道選手は胸筋に目がいきます。マラソン選手の細いながらも鍛えた筋肉は、他競技のアスリートとは違う感じです。
そして、「ものづくり大賞」の受賞会社も「鍛えた筋肉」が違うように思います。省エネに大きく貢献できる素材研究(という筋肉)で受賞した大手製造業や、現場の実績収集等、製造実行システム(現場力という筋肉)で受賞した中小製造業だったりします。
経済産業省が発表したDXレポート2では、その中長期戦略として、「協調領域」と「競争領域」に分けて考えることが記載されていました。この「競争領域」は他社と差別化を図る領域ですから、つまり企業としての「筋肉」だと思います。
「ものづくり大賞」は、他社と競うことをあまり前提としておらず、日々の研究開発や改善活動が結果として受賞につながるという点に違いがあります。ただ、「競争領域」である特異分野や差別化分野に「地道な研究成果の筋肉」や「画期的なアイデアの筋肉」や「新たなビジネスモデルの筋肉」をつけるという意味では同じなのかもしれません。
ものづくり大賞への応募は比較的シンプルで、以下の2種類の書類で可能です。
- 案件の概要資料では、
- 概要と優れている点(400文字以内)
- 開発の背景・ストーリー(300文字以内)
- 製品事例や実用化の時期等(300文字以内)
- 図や写真等(2点)
- 案件の詳細資料では、
- 社会的課題への対応
- 革新性
- 波及効果
「ものづくり大賞」の受賞効果としては、「社会的信用が向上」「業績の向上」「優秀な人材の確保」「社内の士気向上」などのメダル同様のご褒美があるようです。
貴社の「筋肉」の状態を文章にして応募してみては如何でしょうか?
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